定款の絶対的記載事項についての説明
今回は、定款の絶対的記載事項について項目ごとの説明です。
記載する項目は、次の5項目です。記載されていない定款は、無効です。
設立されて会社の登記事項証明書に記載される内容は、①~③の事項です。
それでは、各項目について内容を確認しましょう。
絶対的記載事項
①目的について
設立する会社の主な事業について、わかりやすく説明したものです。
役所等の許認可が必要となる事業の場合は、使用できる言葉が決まって
いる場合があります。
近い将来に新規の事業を始める予定がある場合は、その事業についても
記載しておくことをお勧めします。
たくさんの事業内容を記載しすぎると、主な業務が明確にならないので
気を付けましょう。
しかし、自由に目的を定めることは出来ません。
次のような一定の制約があります。
適法性(公序良俗又は法令に違反する事業を目的とすることは出来ない)
営利性(活動によって利益を得ることが出来る事業内容)
明確性(一般の人が読んだとき、内容を明確であること。
読んだ人が理解出来ること)
具体性(一般の人が、事業内容を容易に理解してもらえる内容)
②商号について
商号は、会社の名称です。
商号に使用できる文字
文 字 日本語 漢字(漢数字を含む)
ひらがな
カタカナ
ローマ字 大文字・小文字
(単語と単語の間に「空白(スペース))を
使用することが出来る)
数 字 アラビア数字 1、2、3、・・・
(ローマ数字 I、Ⅱ、Ⅲの使用は出来ない)
記 号 「 & 」 アンドサンド
「 ′ 」 アポストロフィー
「 , 」 コンマ
「 - 」 ハイフン
「 . 」 ピリオド
「 ・ 」 中点
文字を区切り際には、符号として使用出来る
先頭又は末尾に使用することは出来ない
ピリオドは、末尾に使用出来る
同一商号、同一本店の禁止
あなたが設立する会社が、既に登記された会社と商号が同じ、
本店所在地も同じである場合は、その商号では登記することが出来
ません。
同一商号の判断基準
同一商号であるかの判断基準は、「株式会社」、「合同会社」等の会社の
種類を表す文字も含めて商号全体の表記が一致することを言います。
同一商号と判断される場合
「日本」(「にほん」と読む) と 「日本」(「にっぽん」と読む)
同一商号と判断されない場合
「株式会社日本」 と 「合同会社日本」
「株式会社日本」 と 「日本株式会社」
「大和」(「やまと」と読む) と 「ヤマト」
「ABC」 と「エービーシー」
同一本店所在場所に該当するもの
「○○1番地の1」、「○○1番地1」、「○○1番1号」、「○○1-1」
「○○1丁目1番1号」と「○○1丁目1番1号101号室」
③本店の所在地について
本店とは、会社の主たる営業所です。
所在地については、市区町村その他これに準ずる地域を記載すればいいと
されています。
東京都の特別区、政令指定都市及び都道府県名と同一名称の市を除いては、
都道府県を記載する必要があります。
例えば、
「徳島県徳島市」は、「徳島市」で大丈夫です。
「徳島県吉野川市」は、「徳島県吉野川市」と記載します。
④設立に際して出資される財産の価格又はその最低額
会社の資本金のことです。
資本金1円以上で登記申請は可能ですが、実際には1円で事業をする
ことは難しいです。
取引先に与える印象もあまりいいイメージを持たれないと思います。
設立時に出資される財産の額は、確定金額でなくてもいいです。
少なくとも最低限出資される金額を記載すればいいです。
出資された財産の総額が資本金となるのが原則です。
財産の総額の2分の1を超えない額を資本準備金とすることもできます。
⑤発起人の氏名又は名称及び住所
発起人とは、設立する会社へお金を出資してくれる人です。
発起人の人数は、1人でも数人でも大丈夫です。
発起人は、個人でも法人になることは可能です。
発起人が法人の場合は、法人の所在地、名称を記載します。
代表者名は、記載しません。
以上が、定款の絶対的記載事項について項目ごとに説明でした。
いろいろと決まりごとはありますが、ひとつひとつ対処していけ
ば定款を作成することは出来ます。