株式会社と合同会社の設立に関するメリット・デメリット
今回は、あなたが会社を設立するとしたら、株式会社と合同会社の設立に関するメリット・デメリットについて説明します。
①はじめに株式会社と合同会社についての説明です。
株式会社とは、個人・他の会社からお金を出して貰って(出資)、
事業の目的に沿った営業活動(利益を上げる)を行います。
お金を出す人は、株主と呼ばれます。
利益が上がれば、株主に対して、それぞれの株主が出資してくれた割合に
応じて利益を配分します。
株主は、出資したお金の範囲内のみ、会社に対して責任(有限責任という)を
負います。
新規に設立される多くの会社は、株式会社です。
年間の登記申請数は、株式会社で約9万1000社です。
【会社の設立登記申請件数(法務省登記統計「商業・法人登記」)より抜粋】
合同会社とは、代表者自らがお金を出して、事業の目的に沿った営業活動
(利益を上げる)を行います。
お金を出す人は、社員と呼ばれます。
利益が上がれば、社員に対して、それぞれの社員が出資してくれた割合に
応じて利益を配分します。
定款に定めがある場合は、出資割合と別の割合で利益を配分することも可能です。
社員は、出資したお金の範囲内のみ、会社に対して責任(有限責任という)を
負います。
これは、株式会社の株主と同じです。
年間の登記申請数は、合同会社で約2万7000社です。
【会社の設立登記申請件数(法務省登記統計「商業・法人登記」)より抜粋】
株式会社のメリット・デメリットについて。
<メリット>
① 社会的信用度が高い
・新規の取引を開始するときに、信用されることが多い。
理由は、法務局であなたの会社の登記事項証明書を取得すれば、あなたの
会社について知ることが出来るから。
② 給料所得控除が使える
・会社から社長に給料を支払えば、社長も従業員と同じように給料所得控除が
使える。
③ 従業員を採用しやすい
・社会保険の加入が義務付けられているため。
<デメリット>
① 設立時の費用が高い
・公証人役場で、定款の認証をしてもらう必要があるため。
・登録免許税として、15万円(基本)が必要なため。
② 意思決定に時間がかかる
・会社の意思決定を行う機関が、基本的に株主総会であるから。
・株主総会を開催する必要がある。
③ 決算公告を行う必要がある
・事業年度終了後、2ヵ月以内に確定申告を行います。
・確定申告の内容を、定款で定めた方法により公告をします。
④ 役員変更登記(任期満了に伴う)を行う必要がある
・基本は、取締役は2年、監査役は4年以内に終了する事業年度のうち最終
のものに関する定時株主総会の終結の時までとなります。
・非公開会社(株式譲渡制限を設けている)の場合は、定款により任期を
10年に伸長することは可能です。
合同会社のメリット・デメリットについて。
<メリット>
① 設立時の費用を抑えることができる
・公証人役場への認証手数料が、不要だから。
・登録免許税が、6万円(基本)であるため。
② 意思決定がスムーズ
・出資者が社員となるので、意思決定がスムーズになります。
・家族・親族が社員となることも多い。
③ 役員変更手続(任期満了に伴う)が不要
・基本は、役員の任期はありません。
・定款で任期を定めた場合は、役員変更手続が必要となります。
④ 決算公告は必要がありません。
・ただし、決算書の作成は必要です。
<デメリット>
① 株式会社より認知度が低い
・合同会社の制度施行が2006年5月からなので、認知度が低い。
・従業員の確保が難しい。
② 社員の意見が対立すると意思決定が遅くなる
・社員が2名以上の合同会社の意思決定は、基本的に社員全員の同意が必要。
(まとめ)
株式会社と合同会社のメリット・デメリットについてのまとめです。
1年間で設立される会社数は、株式会社が合同会社の約3倍という数字からも
わかるように認知度は、株式会社が合同会社より高いとわかります。
設立する会社の社会的認知度が必要であると考えるのであれば、株式会社を
選択することになります。
設立の費用面で比較すると、株式会社より費用を抑えることが出来る合同会社を
選択することになります。
これまでに述べてきたメリット・デメリットだけで判断するなら、合同会社で
起業するほうがいいと考えることも出来ます。
ここからは、個人的意見です。
会社は、人の集まりであると思っています。
あなたに強い思いがあるから会社を設立しようと考えていると思います。
あなたの思いを、商品やサービスとしてお客様に知ってもらうこと、また、
実際に利用していただける環境を整える必要があります。
環境を整え、その商品やサービスを届ける窓口としてあるのが、会社です。
あなたの思いに賛同してくれる人(出資者やお客様)やあなたと仕事を一緒にしたい
と思ってくれる仲間と繋がるための手段として、会社は存在すると思います。
株式会社と合同会社のどちらかで設立をするのが、正解か不正解かは、
誰も判らないと思います。
あなたが、会社を設立することについて後悔が残らないようにすることが、
一番いいメリットになると思います。